「かならず、還る」⑭ [ヤマト2199外伝]
episode: 13
情報長
新見 薫 一尉
芹沢軍務局長との交信を終え、
新見は暗いモニター画面に映りこむ自分の姿をしばし見つめていた。
一人に割り当てられた5分の通信時間があと30秒ほど残っている。
キーボードの上に置いた右手の指が
勝手に慣れ親しんだID番号を滑るように叩く。
「私は何をしているのだろう・・」
新見は自分に呆れながらエンターキーを押してみた。
目の前の通信端末がククッと乾いた音をこぼして
入力先へのアクセスを試みる。
「私が選んだ道は間違ってはいないよね・・・守・・」
目の前の真っ暗な画面がしばらくして反応する。
静かに蒼く点滅する「NOT FOUND」の文字。
新見はタイムアウトになるまで、ただその画面を見つめていた。
【妄想コメント】
常に理知的で聡明な新見。そんな彼女の内に秘められた心の揺れを、古代守への思い、確信しているはずのイズモ計画への迷いなどを通じて描きました。
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