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「かならず、還る」⑤ [ヤマト2199外伝]

 episode: 4

 

 砲雷長

 南部 康雄 二尉

 

 

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 「状況がわかっていないのはお前のほうだ!

思わずそう怒鳴ってしまった。

 

お前は事あるごとにいつも私の考えに抗ってきた。

今回もそうだ。

お前は反対する私や母さんを振り切ってまでヤマトに乗艦した。

政府高官を通じてお前の乗艦を取り消すことなど

私にはいつでも出来た。

それなのに何故お前を行かせたのか、

この父の本当の思いがお前にわかるか?

 

私は今まで、この父を否定することでしか

自分の居場所を見つける事ができないでいるお前に

いつも物足りなさと歯がゆさを感じてきた。

だからこそ、私はお前を往かせたのだ。

 

これからお前は、遠くこの父から、家族から離れ、

果てのない宇宙の海で今まで目を背けてきた己と

嫌というほど向き合うことになるだろう。

そして幾度となく自分の無力さに打ちのめされることだろう。

私はそれを望んだのだ。

 

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康雄よ、その絶望を己の力で希望に変えてみせろ。

ヤマトが地球に残された明日への希望であるように、

お前がいっさいに囚われず

真っ向の自分を見つけて還ってくること。

それこそが私にとって、明日につなぐ希望なのだ。

お前が今回の航海を全うし、この地球に還り着いた時、

そこには今のお前では決して見えなかった景色が広がっているはずだ。

 

父はなによりもそれだけを切に願う。

この絶望の地球で、父はその日をただひたすら待ち続ける。

 

 

 

 

【妄想コメント】

南部の父親は典型的な頑固でワンマンな人として描かれてましたが、実は息子のことを誰よりも考えているとしたら・・。そんな思いつきで父親の思いを通じて南部を描きました。「僕には心に決めた人がいる」とつぶやきコミカル調に終わる南部の交信シーンをシリアスにアレンジしました。

 


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