「かならず、還る」① [ヤマト2199外伝]
prologue
「子供が生まれたんだ。二人で名前を考えるだけで持ち時間を使っちまったよ。」
先ほどの若い乗組員の言葉を、徳川彦左衛門は通信室の椅子に座し、
目を閉じて静かに思い出していた。
希望。
今われわれが、家族とのたった5分間の交信で伝えなければならないこと。
それは明日につなぐ希望なのだ。
徳川はゆっくりと目を開け、IDの数字をひとつひとつ確かめるようにキーボードに打ち込む。
目の前の漆黒のモニター画面がブンと小さく低く震える。
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